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哲学科卒のサラリーマンによる戯言~自由及び生の考察~

若手サラリーマンの日常。そして、哲学や思想。

【書評】 『ノマドと社畜』を読んで

『ノマドと社畜』を読みました。
全体を通して、現在人気のノマド論に対して警鐘を鳴らしている本です。

現在日本では、ノマドとは会社に縛られている社畜と対をなすものであり、WEBの力を利用しとても儲かるもの、として語られている。
このような安易なノマド論に対して著者は疑問を抱いている。
この論では、ノマドとは個人で独立することである。
そのため、全てが個人の力量次第で評価される。
社畜のように、会社から毎月給料が支払われることはなく、当然残業代もない。

現在日本で出版されているノマド本や、ノマドに関するセミナーでは、どのパソコンがいいだの、どこのカフェで仕事ができるだの、表面的なことしか語られていない。
また、ノマドを推奨している人が広告業界の人や作家等、仕事のパイが少ない業界の人が多いが、実際ノマドとして食べていける職種はエンジニアやプログラマーといったものである、と指摘する。
さらに、前段のようなノマドの負の部分には一切触れない、ということも指摘している。
それで高額な教材をノマド志望者に売り込むことは、過去のフリーターの推奨に似ていると述べる。

ノマドというのは働き方の1つに過ぎない、これが著者の結論であろう。
フリーになることだけがノマドではないのだ。
本来、ノマドとは場所に縛られず自由に働くことを意味するのだから。
社畜でありながら、ノマド的に働くことだって可能なのだ。
現に、ノマドの本場イギリスでは、社畜でありながら、場所にとらわれない勤務ということが実現している。

なお、本書で指摘している重要な点がもう1つある。
それは、著者が契約について触れる部分である。
契約社会であるイギリスでは契約以外の仕事は行わない。
契約外の仕事は、自分の専門外であることが多く、成果物のパフォーマンスが落ちるからだ。

ところが、日本ではあれもやってこれもやって、と契約外の仕事をやらされることが当然である。
そもそも、契約という概念も薄いようだ。
本書ではあまり触れられていないが、今日本で問題となっている「ブラック企業」にも通ずるものがある。
契約外の仕事を押し付け、それを従業員が許容している社会。

この社会を打破し、契約をより強固なものにすることは日本にとって急務であろう。
契約にたいしての考えが改まり、それが浸透すれば「ブラック企業」というものを日本からなくすことができるのではないだろうか。
考えのない欧米化には反対だが、労働に関する契約について、日本は早急に欧米化を進めるべきだ。
またそれがノマドとして生きていくことを選択しやすい社会にも通ずるのだ。




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[ 2013/09/02 01:33 ] | TB(0) | コメント(0)
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プロフィール

智葉 哲三(ちば てつぞう)

Author:智葉 哲三(ちば てつぞう)
自由、幸福な生を主題に哲学します。学生時代はアリストテレスの『ニコマコス倫理学』から幸福を考察した。都内でサラリーマンを始め転勤で新潟へ。まだ若手。日常の出来事なんかも書きます。
連絡はこちらへ tetsuzou.c@gmail.com
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